2021.09.02

【ウェビナー開催レポート】 カスミ&流通経済研究所共同研究プロジェクト立ち上げ記念! ISM指標を用いた売場づくりとは?~ショッパー行動データを売場づくりに生かす~

【ウェビナー開催レポート】 カスミ&流通経済研究所共同研究プロジェクト立ち上げ記念! ISM指標を用いた売場づくりとは?~ショッパー行動データを売場づくりに生かす~

7月13日に開催した本ウェビナーでは、「売場前行動研究プロジェクト」の立ち上げを記念して、共同実施をする流通経済研究所様、売場のご協力を頂く株式会社カスミ様にもご登壇を頂き、3社での対談を実施いたしました。 ISMを用いた売場づくりや、カスミ様の実際のお取組みもご紹介いただき、最適な売場づくりについて考えました。

※本レポートは要約版となります。当日の詳細をご覧になりたい方は、ぜひアーカイブ版のご視聴&資料のダウンロードをお願い致します。

<この記事を読んでいただきたい方>
・店頭マーケティングで成果を出したい セールス・マーケターの方
・ショッパー行動からヒントを得たい 商品企画・開発担当の方
・店頭のデジタル施策を推進する 小売業のDX担当の方

第1部 「売場前行動研究プロジェクト」概要のご紹介

コニカミノルタ株式会社
Go Insightプロダクトマネージャー
清水 隆史(しみず たかし)

ショッパー行動解析サービス「Go Insight」の企画・開発に携わり、飲料品・食料品・日用品・嗜好品など20社以上のメーカー・ブランドオーナー様や小売・流通企業様の課題解決を支援。マーケティングデータ分析を行いながら企業のデジタルトランスフォームを支援すると共にエバンジェリストとしても活動し、セミナー・研修等の登壇多数。スクラムマスターとしてアジャイルマーケティングのアドバイザリーにも従事。サイエンスの観点からマーケティングを進化させる。専攻は宇宙物理学。

まず初めに弊社の清水より、本プロジェクトの概要をご説明させていただきました。

はじめに ~本プロジェクトに期待すること~

清水
本研究プロジェクトへの期待値をお聞かせいただけますでしょうか。

赤尾様(カスミ株式会社)
ISMの根本は、データや根拠に基づいた売場づくりであることを頭では理解していますが、いざ実際に行うとなると従来型になりがちです。コロナ禍で購買行動が明らかに変わってきている中で、プロジェクトを通して購買行動を実際に目で見て体感できること、また行動データをもとにした売場への展開に期待しています。

「売場前行動研究プロジェクト」概要

本プロジェクトは、流通経済研究所様、カスミ様、コニカミノルタマーケティングサービスの3社でチームを組んでおります。

それぞれの知見や技術を活かしながら、メーカー様からいただいた売場づくりに関する問題意識や仮説検証を行い、実験結果と考察のフィードバックをさせていただきます。

本プロジェクトに少しでもご興味がございましたら、是非お気軽に弊社までお問い合わせください!

第2部 ISM指標を用いた売場づくりとは?

公益財団法人流通経済研究所
常務理事 流通・店頭部門長
山崎 泰弘

コンビニエンスストア本部を経て2005年に流通経済研究所へ入所。
研究所における消費者・店頭領域に関する研究を統括。メーカー・卸売業、小売業向け研修やコンサルティングなども担当。 主な研究領域は、協働マーチャンダイジングにおけるデータ活用、消費者購買行動、ネットを含めた小売業態動向。

第2部では流通経済研究所の山崎様より、ISMの基本と応用、技術を活用した売場づくりの高度化についてお話いただきました。

インストア・マーチャンダイジング(ISM)の原則

・小売業にとってのISMの目的
–店頭で、商品を効果的で効率的な方法で消費者に提示することにより、店舗売り上げの向上を目指す活動
–効果的な売り場づくりの考え方の体系

・メーカー・卸にとってのISM
–「効果的なMD提案とリテールサポート」と「自社商品のインストア・シェア向上」のために必要な知見
–カテゴリーや商品の特徴に応じた対応には、基本の考え方の理解と実践によるノウハウ構築が必要

購買カテゴリー、商品の事前計画(スーパーマーケット業態)

ISMの考え方の基本となっているのが商品の計画購買・非計画購買の考え方です。

流通経済研究所では店頭で定期的に調査を行っており、スーパーマーケットの業態では約8割の商品が非計画購買であることが分かっています。

つまり、10種類の商品を買ったとしたら、そのうち8種類は店頭で買うきっかけがなければ買われなかったものということになります。

この8つの商品を買ってもらうための売場作りというのがISMの考え方となります。

売上を規定するISM 要因

感覚で売場づくりをするのではなく、消費者行動に基づいて科学的にアプローチし、どの視点で売上を上げられるのかを考えることが重要になってきます。

お店の売上は客数×客単価でできており、客数はお店の立地やチラシ販促等に影響し、客単価は売場づくりが非常に大きく影響しています。

その客単価を構成する要因をISM指標で分解し、1つ1つを改善していくことが重要になってきます。

メーカー様の立場からすると、自社カテゴリーの売上を上げることを小売業様と一緒に考えていくことになるわけですが、基本的には同じ分解が考えられます。

また、最終的にPOSデータでいくつ売れたかという情報は分かりますが、売場での立寄りや接触は可視化できていないのが実態かと思います。

単に売れなかったというのではなく、売れなかった要因を分解し、それぞれの課題に対応した売場作りをすることが重要です。

効果的な売り場づくりをするために

ISMを基本の理解として実践することは重要ですが、どのカテゴリーでも全く同じというわけにはいきません。

カテゴリー特有の事例、立寄るお客様の行動、対象のお客様の属性や購買シーンといったものを理解し応用していくことが重要になってきます。

応用のノウハウに関しては、実践調査から得られた知見でカスタマイズすることが必要で、自社カテゴリーの売場づくりのノウハウをISMの基本にプラスアルファしていくことがより重要になっていると考えています。

ECとリアルの売場づくり

リアル店舗でもPOSデータの活用はここ数十年でかなり進んでいますが、あくまで販売した結果のデータでしかないのに対し、EC事業者は購入前の行動データまで

リアルの小売業での購買率はレジ通過客数が分母になっており、買わなかった人の数は含まれていません。ECの場合は見るだけの人の数も分母に含まれているため、コンバージョン率は低く出ますが、購買行動の実態を示しています。

リアル店舗でも同じように考えていかなければならない中で、今回のプロジェクトでは、これまで見えなかったものを可視化して課題を発見し、購買における機会ロスの減少、売上を伸ばすための改善点の発見ができると考えています。

ショッパーの購買行動プロセスと本プロジェクトで取得する指標

プロジェクトでは、売場前の通過・立寄人数や属性による行動の違いも明らかにすることができます。

売場を2パターンで検証するA/Bテストでは、要素を変えることで起こる、立寄や接触の変化や買われ方の違いを把握し、効果的な売場づくりのノウハウを得ることができると考えています。

第2部まとめ

・売り場づくりに活用できるISM指標は大きく変わらないが、テクノロジーの進化により、活用の幅が広がっている 

・コロナ禍で生じたショッパーの売場における購買行動の変化は、収束後も元に戻るのではなく、定着する可能性もある

・勘と経験で作られた売場を科学的なアプローチで改善することは、スーパーマーケットなどのリアル店舗業態にとって新たな機会を創出する可能性を秘めている

流通経済研究所では本プロジェクト以外にも様々なプロジェクトを実施しています。

研究プロジェクトを通して、皆さんと一緒に新たな売場づくりにチャレンジしていきたいと思っています。

第3部 売場づくりを強化する棚前行動解析

第3部では弊社の清水が、ショッパー行動解析サービス「Go Insight」を活用した棚前のショッパー行動について解説いたしました。

ますます深まる商品の「売れ方」の謎

私は商品の「売れ方」の謎がますます深まっていると考えています。

いくつかの要因がありますが、消費者ニーズの多様化、新型コロナのような社会情勢の変化、商品のコモディティ化等によって、売場のことが更にわからなくなり、棚割、販促物、パッケージ、買われ方等に課題が生まれていると考えています。

ECと比較してもリアル店舗における棚前行動データはほとんど取得されておらず、またデータがなければ分析も活用もできないので、仮説(謎)が仮説のままで検証されていないというのが現状ではないかと思います。

上記のような課題を背景として、Go Insightを開発し、お客様の棚前行動データを取得、解析しております。

Go Insight活用事例のご紹介

Go Insightでは、お客様の属性、立寄、滞在、接触等のデータを取得することができ、そのデータを使って様々な切り口で分析をさせていただいております。

コロナ禍において、購買行動の変化についても調査し、商品への接触数や滞在時間にも変化が起きていることが明らかになりました。取得したデータや考察は、メーカー様、小売様にて販促施策や棚割りの提案や変更等に活かしていただいております。

最後に

Go Insightは2018年頃からサービスをスタートし、これまで様々なメーカー様、小売様とお取組みさせていただいております。

これまでの調査で知見も溜まってきていますので、こちらもご提供しながら調査ができればと考えています。

第4部 トークセッション ~コロナ禍におけるスーパーマーケットの売場課題や今後の売場づくり、販促のあり方等~

株式会社カスミ
営業統括本部  営業企画部マネジャー
赤尾 裕之

1996年に株式会社カスミ入社。2016年に商品本部 鮮魚部マネジャー就任。2019年、店舗サポート本部 第8サポートマネジャー就任。2020年より営業統括本部営業企画マネジャー就任(現職)。

最後に本プロジェクトで売場のご協力をいただく、株式会社カスミの赤尾様にもご参加いただき、トークセッションと視聴者の皆様からの質問に回答させていただくQ&Aを行いました。

清水
赤尾様、これまでのお話を聞いていただいて率直なご感想はいかがでしょうか?

赤尾様
従来は販売者視点のバリューチェーンの発想でしたが、今後は俗にいうバリュージャーニーの発想で、お客様との接点をどれだけ増やせるかがポイントだと思いました。お客様目線で体験型の売場をどう作っていくかが重要だと思っています。

清水
山崎様、今の赤尾様のお話を聞いてどう思いましたか?

山崎様
今お話にあったように、バリュージャーニーの発想でお客様の体験が重要になるというのはまさにそうだと思います。リアルの店舗では、どういう価値をお客様に提供できるか考え、体験を軸に仮説を立て実践することが良い売場づくりに繋がっていくと思います。

Q. カスミ様のお取組みについて

清水
赤尾様、本日POPなど販促物もお持ちいただいておりますが、カスミ様のお取組みをご紹介いただけますか?

赤尾様
去年から営業企画に赴任してすぐにコロナ禍となり、売上は達成しなければならない中でどれだけ集客の集中化を避け、分散ができるかが課題でした。その中で、これまで日替わり商品一辺倒だったチラシに、全面的にメニューを載せることにしました。

これまでは、来店のきっかけが商品や価格だったのに対し、タッチポイントを増やし、どれだけ計画的に来店頂くかも考慮した上で、チラシにはメニューやキャンペーンを載せました。

当初は1.5万通程でしたが、直近のキャンペーンには約70万通の応募があり、お客様にも期待いただいていると考えております。

あとは、シニアデーや子育て支援の日を作って、集客の分散を考えました。集客の集中を防ぐためにやったことが、結果としてお客様の好評を得て、客単価がアップしロイヤルカスタマーを増やすことができました。

清水
コロナ禍でも色々なお取組みをされていたんですね!

Q. ライブアンケート「売場づくりの課題は

清水
ここで視聴者の皆さまにお願いさせて頂いたライブアンケートの結果をご紹介したいと思います。

「売場づくりの課題は?」という問いに対して、「定番売場の活性化」が最も多く半数以上になっていますね。

山崎さん、結果をご覧になられていかがですか?

山崎様
「定番売場の活性化」は昔から課題としてずっと言われていることです。

2番目の「デジタルと店舗の連携」については、最近の取組みの中で関心が高まってきているところだと思います。

赤尾様
よくECとリアルどちらがどうだという話が出ますが、絶対にどちらも必要です。スーパーマーケットは非計画購買が多いところで、ECが中々普及していかないところもありますが、リアル店舗は雨の日に弱く、まさしく今、両方をどうしていくかを考えているところです。

Q. インストア・マーチャンダイジングより 業態による購買行動の特徴とは?

清水
ここからは書籍「インストア・マーチャンダイジング 第2版」の中から、山崎さんが執筆されている章を取り上げてお話をしていきます。

まずは「業態による購買行動の特徴」についてですが、山崎さん、簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか。

山崎様
はい。業態によってショッパーの来店目的が違っているので、買い方も違ってきます。

スーパーの場合は、家庭内の食品在庫を揃えるために買い回るので、買い上げ点数が多く、非計画購買が多いのが特徴です。

コンビニエンスストアは、買い上げ点数が少ないので、カゴを持たない買い物客も多いです。ただ、意外にもコンビニエンスストアでも非計画購買の方が多いことが分かっています。

清水
チャネルごとに違いがある中で、カスミ様ではどうなのか、また他のスーパーと違うところなど、特徴があれば教えてください。

赤尾様
色々なところにマグネットを作り、買い回りをしてもらうことが大事だと思います。その仕掛けとして、チラシのメニューを使っています。

あとは、デジタルサイネージを始めました。朝水揚げしたカツオの動画をバイヤーがスマホで撮影し、夕方サイネージで流すといったこともやりました。

売場の色々なところに引っ掛かりを作るようにしています。

Q. 視聴者様からのご質問 これから良さそうな販促は?

清水
ここからはご視聴の皆様からのご質問に答えていきたいと思います。

山崎さん、販促活動についてですがこれから良さそうな販促はなにかございますか?

山崎様
先程赤尾様のお話にも出た、シニアと子育て層を別々の販促で引き付けた事例のように、顧客属性にあった販促をしていかなければならないと思います。デジタルとの連携でも、顧客属性に分けて個別のアプローチを考えていくような時代になっていくと思います。

清水
赤尾さん、販促物を作られる際に意識していることはありますか?

赤尾様
主役は商品なので、商品を浮き出させるための販促物と考えています。

コロナ影響もあり、衛生的なお店づくりを意識する中で、販促物が色あせないように紙の材質にも気を使っています。

清潔感のある売場が選ばれるのがスタンダードになってきているので、売場がごちゃごちゃしないように最低限の数の販促物で売場をどれだけ演出できるかを考えています。

Q. 視聴者様からのご質問 在庫管理について、AIシステム等は検討すべきか?

清水
次の質問ですが、「まとめ買いが増え、これまでの在庫管理だと欠品が増えると想定する。AIシステム等も検討すべきか?」とあります。

赤尾さん、こちらはいかがでしょうか。

赤尾様
コロナ禍において、欠品や供給できない商品が出たり、我々が想定していなかったことが起きました。

これは中々解決が難しい問題ですので、例えばデイリーグロッサリー系のものは数量限定、生鮮であれば時間限定と入れさせて頂いております。

山崎様
欠品しないことも重要ですが、今は食品ロスが出ないという視点も重要だと思います。

あとはISMの基本的な考え方で、欠品になりやすい商品はフェイスが足りないとも言えますので、在庫をしっかり持つですとか、売場全体のアイテム数のコントロールも重要になってくると思います。

Q. 視聴者様からのご質問 コロナ禍でのお客様へのアプローチの仕掛けは?

清水
それでは最後の質問です。「コロナ禍でどのような仕掛けでお客様にアプローチするべき?」とありますが、山崎さんいかがでしょうか。

山崎様
コロナ禍においては特に、お客様にとって安心を届けるのが重要だと思います。衛生的な売場づくりを継続する等が必要だと思います。

赤尾様
再三申し上げているように、「メニュー」なんです。

外食が制限されている中で、スーパーでもこんな食材を使えばレストランのような食卓になるんだというようなメニューをどれだけ提案できるかだと思っています。

我々が作ったメニューに3日で1万件近くアクセスがあったメニューがあるんです。それが電子レンジだけで作れるもので、見栄えの良いものを短時間で作れるというところでアクセスが延びたと思います。

最後に

清水
最後にお二人から一言いただきたいと思います。山崎さんからお願い致します。

山崎様
今回、カスミ様ご協力のもと、新しいお客様の購買行動を捉えるプロジェクトを実施いたします。是非皆様と一緒に研究を推進できればと思います。

また、流通経済研究所では色々なプロジェクトを実施しております。是非ホームページを見ていただき、関心があるものにお問い合わせいただければと思います。

赤尾様
お取引様含め、一緒に協力してやっていきたいというところは変わりません。タッチポイントの視点で、お客様の反応があるものは特に情報共有したいです。

あとは、お客様満足を得るために、感覚一辺倒ではなく、何が付加価値になるかということを考えて新たな提案を行っていきたいです。

売場をプラットフォームとして、お客様が価値を感じられることをする、最初は実験になると思いますが、これがアフターコロナの一手を担うと思っています。

清水
赤尾様、山崎様、本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

売場前行動研究プロジェクトに少しでもご興味のある方はお気軽に下記連絡先よりご連絡をお願い致します!

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