2021.09.02

ゴールデンゾーンはある?ない?大事なのは違いを考える事

ゴールデンゾーンはある?ない?大事なのは違いを考える事

「ゴールデンゾーンはあるのか?ないのか?」という正解を求めるのではなく、「ゴールデンゾーンと言われている場所とそうでない場所とで、どういった違いがあるのか?」を考えることが大切です。ゴールデンゾーンについてこコニカミノルタマーケティングサービス データアナリストの清水が解説します。

新型コロナウイルスは私たちの生活を一変させました。


私たちが課題解決の支援をさせていただいている小売店舗の店頭マーケティングにおいても例外ではなく、商品への接触回数が激減し小売店舗内における滞在時間も減少していることが、私たちのリサーチからも明らかになっています。

現代は「VUCAの時代」と呼ばれ、きわめて不確実で曖昧です。この新型コロナウイルスによる世の中の変容は、まさにVUCAの時代の象徴とも言えるでしょう。

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そのような時代では、「正解がない」だけでなく、仮に正解だと思っていたことがあってもそれが変化していく、すなわち「正解が変わり続ける」ことが特徴であるといえます。

店頭マーケティングにおけるVUCA

店頭マーケティングもまさに「VUCAの時代」にあるといえます。例えば「ゴールデンゾーン」(またはゴールデンライン)について考えてみましょう。
これまで店頭にはインストア・マーチャンダイジング(ISM理論)と呼ばれる、いわゆる「セオリー」がありました。その中のひとつがゴールデンゾーンで、一般的には来店客が目線を落としやすい場所や商品を手に取りやすい棚位置のことをいいます。関連する書籍を紐解くと、

  • 床下から○cm~○cmのこと
  • 視野角が○度のエリアのこと

といった一見定量的な尺度があるように見受けられます。

しかし、その数値の根拠や実測したエビデンスについて詳細に説明されているものは、あまり見受けられないように思います。

また、時代が移り変わり商品のパッケージや販促物も変わって(Volatility)、新型コロナウイルスのような不確実な出来事も起き(Uncertainty)、店舗の特性や商品の陳列など複雑な要素が関わり(Complexity)、変動要因が多く極めて曖昧(Ambiguity)であるにも関わらず、「ゴールデンゾーン」に関する理論はまるで不変のものであるように扱われ、アップデートされている様子も見受けられません

実際、私たちの調査でも、従来言われているゴールデンゾーンとは別の場所(例えば最上段や最下段など)の商品が、最も接触人数が多い(商品を手に取る人が多い)ケースも存在していることが明らかになっています。


次の画像は、とある小売店舗における一般消費財商品に対する接触人数をヒートマップの形で可視化したものです。色が濃く赤やオレンジ色になっている商品ほど、商品接触人数が多いことを表しており、目線の位置よりも少し腰をかがめたあたりの中~下段付近が特に多いことが分かります。

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ゴールデンゾーンはあるのか?ないのか?

どうせ正解がないし、正解が変わり続けるのであれば、正解を求める行為は無駄なのでしょうか?
いいえ、決してそうではありません。

ゴールデンゾーンを例にとると、「ゴールデンゾーンはあるのか?ないのか?」という正解を求めるのではなく、「ゴールデンゾーンと言われている場所とそうでない場所とで、どういった違いがあるのか?」を考えることが大切です。

先にヒートマップで示した商品接触人数は、まさにこの「違い」を定量的に表した好例と言えます。こういった数値を指標値といい、さまざまなものを測り、比べる機能があります。商品接触人数の場合、商品への関心度を示す重要な指標値であると共に、どの棚位置の商品の接触人数が多いかを見ることで「ゴールデンゾーン」がどこにあるかを見出す指標値であるともいえるでしょう。

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正解を見出そうとせず、まずはその謎を解くために必要な指標値を見出すことで、定量的に状況を推し量るという思考が大切です。

変化を見極めるには実験が一番

指標値が見つけ出せたら、まずは現状のその指標値を測ります。


例えば商品接触人数であれば、

  • どの売場(定番、エンド…)
  • どの位置(上段、中段、下段…)
  • どの機能性(健康志向、安価、バラエティ…)
  • どれぐらい(回数、人数、頻度)
  • いつ(時間帯、曜日)

といった観点でそれぞれ計測していくとよいでしょう。
このようなベースラインとなる調査を基礎調査といいます。

そして最も大切なのは、Aというパターンの時と、Bというパターンの時とで計測を行い、その数値を対比して増減(多少)を見ることです。これをA/Bテストといいます。

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変化を確認するためには、基礎調査をベースラインとして、何らかの変化(これを「介入」といいます)を起こしたときに指標値がどう変わるのか?という観点で実験を行うことが必要です。

「何らかの変化(介入)」として、例えば、

  • 棚割を変更する
  • 配荷商品を変更する
  • 店頭チラシを配布する
  • 販促物を変更する(または販促物が無かったところに販促物を設置する)
  • キャンペーンを実施する

などといった、いわゆる店頭マーケティング施策が挙げられます。
ここで大切なのは、「実験をする」ということをネガティブに考えずに、謎を解き明かしROIの高い施策を展開するために必要な活動であると認識することです。

「実験する組織」へ

「実験をすることによって、売上が下がったらどうするんだ!(誰が責任をとるんだ!)」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、VUCAの時代では、実験をしてもしなくても状況は刻一刻と変わるのです。大切なのは、「常に変化をしている」という事実を受け止め、指標値がどのように変化しているのか実験を繰り返し行い真理に近づこうとするマインドセットです。これは現場の担当者だけでなく、管理層や経営層の意識変革が必要となってきます。


実験を推奨し変化に対応できるしなやかな組織にアップデートしていくことが、VUCAの時代には必要であると考えられます。

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まとめ

いかがだったでしょうか。
店頭マーケティングにおいてよく話題にあがる「ゴールデンゾーン」を例として、実験する組織へアップデートする必要性を紹介してみました。

コニカミノルタマーケティングサービスでは、今回ご紹介した「商品接触人数」をはじめとして、様々な指標値を取得・比較・検証し、効果的な店頭施策につなげるコンサルティングサービス「Go Insight」をはじめとして、マーケティングサイエンスを推し進める様々なソリューションを提供しております。

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