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2023年6月1日、コニカミノルタマーケティングサービス株式会社はゴウリカマーケティング株式会社に商号を変更いたしました。

2022.02.08

『購買行動データ』の利活用で広がる課題解決の方法【動画解説あり】

『購買行動データ』の利活用で広がる課題解決の方法【動画解説あり】

店頭での購買行動データを活用出来ていますか?ショッパーの購買行動を可視化する『Go Insight』というサービスを運用する中で得られた購買行動データの利活用について解説します。マーケティング活動のヒントになるかもしれません。

コニカミノルタマーケティングサービス株式会社
Go Insightセールスチーム コンサルタント
山本 由貴美

英国新聞社の編集業務を経験し、帰国後はSP代理店にて大手飲料メーカー、食品メーカー、外資系企業等々のセールスプロモーション企画・ディレクション・営業担当として従事。KMMS入社後はカスタマーサクセス部門にて、数多くのメーカーのマーケター様の生のお声をお聞きした経験を活かし、現在はGo Insightセールスチームのコンサルタントとして、AIを活用した、店頭における流通・メーカー様の課題解決に取り組んでいる。

コニカミノルタ株式会社​
PP事業部 ODP統括部 事業企画部 ビジネス・ストラテジスト
渡部 文香

業務効率化のコンサルから新規ソリューションの営業、デリバリーまでお客様の事業ポートフォリオに沿った一連の業務経験あり。​現在は事業企画部にて、ワールドワイドの販売会社統括を職務とし、戦略立案、予実管理等を担当。毎月届く2,000行近いExcelベースでの業績管理に悪戦苦闘し、データ集計・分析の効率化や重要性を身をもって実感している。​

購買行動データに関する3つのテーマ

本日は、大きく3つのテーマについてお伝えしたいと思います。

  1. マーケティング・営業に求められるデータ活用とは
  2. 課題を解決するにはどのような方法があるのかについて
  3. 具体的にどのような購買行動データの活用例があるのか

購買行動を考えるために大事な2つのキーワード

山本:
昨年よく目にした言葉に「AI」「DX」があるかと思います。

渡部:
2021年はDX元年とも言われており、コロナの影響で様々な業界が急速なデジタル化を迫られ、あらゆるところでDXという言葉を聞きましたよね。

山本:
私は普段Go Insightという小売店舗の天井にAIカメラをつけてショッパーの行動解析を行うサービスの営業をしていますが、昨年は小売流通様やメーカー様からDX施策の一環として「Go Insightの導入を検討したい」というお問い合わせをよく頂きました。

この「AI」と「DX」の2つのキーワードを軸に、前半はDXを支えるデジタル技術としてAIを使った購買行動のデータ活用についてお話をさせていただきます。

まずDXが進むとさまざまな事象をデジタル化するということになりますが、デジタル化されたことによってデータが溜まっていきデータ活用ができるようになります。

私が普段お話させていただいている小売業様やメーカー様の中でも、顧客の購買行動のデータを集めて分析することで消費動向を把握、今後のニーズを予測し、マーケティングに生かし売上アップにつなげるといったことを既に始められている企業様もいらっしゃいます。

このようにデータリテラシーが企業の競争力を高め、新たな価値の創造につなげるといった動きがすぐ傍まで来ているように感じます。

小売業とメーカー間で変わったこと

ではデータに関する変化として小売業様とメーカー様の中では何が変わったのでしょうか。

アンケートを元に3つ紹介します。

  • 小売業からはデータや消費行動といったファクトデータに基づいた提案が求められている
  • メーカーの約半数は小売業を納得させっれるエビデンスがなく売場に課題を感じている
  • 約7割の小売業はメーカーに対して情報提供施策の結果検証・改善提案を重視

小売業からはデータや消費行動といったファクトデータに基づいた提案が求められている

まずはこちらです。

小売業様との商談の内容にはどのような変化があったのか、メーカー様向けのアンケートの結果を見ていきましょう。

この中で得意先からの要望に変化があったこととして、「データを活用した提案」「消費動向にもとづいた提案」が上がっています。

小売業様からはデータや消費動向といったファクトデータに基づいた提案が求められるようになっていることが分かります。

メーカーの約半数は小売業を納得させられるエビデンスがなく売場に課題を感じている

続いてはこちらです。

得意先に対して最も解決しなくてはいけない問題は何ですか?という質問のメーカー様からの回答結果となります。

1位…本部商談が決まっても店頭実現力が弱い
2位…施策がやりっぱなしで効果検証ができていない

という事が上がっています。

このことから小売業様を納得させられるエビデンスがなく売り場に課題を感じたままになっているメーカー様が多いことが分かります。

約7割の小売業はメーカーに対して情報提供、施策の結果検証・改善提案を重視

最後に、こちらは小売業様に対し、メーカー営業活動の中で重視している度合いと満足度を調査したものになります。

1位…外部環境についての情報提供
2位…提案した施策の結果検証、改善提案

という結果になっています

一方でこれらの活動への満足度は約4割とメーカーの営業活動に満足されている小売業様は少ないようです。

今後、小売業からメーカーに求められること

ご紹介したアンケートから今後小売業様やメーカー様に求められることとして3つのことが見えてきます。

  1. 消費者のトレンドや市場動向、カテゴリーや競合の状況など外部環境についての情報提供
  2. データや消費行動に基づいた根拠のある提案
  3. 提案した施策への効果検証

コロナをきっかけにして小売業様やメーカー様の中でもデータの活用が必要になっていることが分かります。

具体的には…

具体的に2022年メーカー様側でアップデートが必要な点としては、これまでの人ありきだった営業スタイルを新しい方法として、お客様の関心があることや求めている情報を根拠のあるデータを使って情報提供し信頼構築をしていくこと。

また長年の商習慣や経験からの提案ではなく新しい時代に合わせて「当たり前」を見直し実態に沿ったファクトデータを使って提案を行うこと、さらに提案した施策はやりっぱなしではなく効果検証を行い、結果を定量的に示すことで次の施策につなげるといった行動へシフトすることが大切になってきます。

これまでお話ししてきたことから今後はファクトデータを重視したご提案が必要になってくると言えそうですね。

渡部:
以前私が営業の時に担当したお客様の中でも、販促物の効果測定をして、例えば「立ち止まり人数、商品接触、滞在時間」がどれぐらい増えたのかというものを、定量的に示したことで、「これまで作ったはいいけれども、売り場に設置されずにバックヤードで眠っていた販促物が活用されるようになった」というお客様がいらっしゃいました。

山本:
それはすごく良い事例ですよね。ここまでお話ししてきた内容からデータ活用が重要なことは分かったけれども、具体的にはどうしたらいいのだろうか、と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

顧客行動を可視化する手段(消費者データ比較)

まず顧客行動を可視化した消費者データは何があるのかを見ていきましょう。

今最も活用が進んでいるのはPOSや ID-POS のデータだと思います。

このPOSやID-POSは購買結果のデータであるのに対し、弊社は一連の購買プロセスをデータ化する仕組みを持っています

AIカメラによる顧客行動分析サービスGo Insightはリアル店舗で実施することにより、バイアスのない無意識な購買行動を数値化し、ECではすでに当たり前に活用されている購買プロセスの部分を、店頭でも活用していこうというサービスになります。

渡部:
前回ダノンジャパン様にご登壇をいただいた際に、アンケートではいつも同じ商品を購入していると回答された方でも実際に購入データを見ると季節商品や話題商品を購入していた、という話もされていました。やはりアンケート等の意識的な行動部分だけでは実際の購買行動を正確に掴めないですよね。

山本:
そうなんです。Go Insightでは素の購買行動を見ることができるので新たな発見があるのかもしれません。

購買行動を可視化する『Go Insight』とは

山本:
では、Go Insightについて少しご紹介をさせてください。

Go Insightは AI技術を利用して顧客行動をデータ化し科学的に分析するサービスです。実際の店舗の天井にAIカメラを設置し、お客様の行動を上から撮影しています。

撮影した動画データから属性や滞在時間、さらには商品への接触情報までデータ化し取得することができます。これまで可視化できていなかった店頭での購買プロセスの部分を定量データとして分析し、営業活動はもちろんマーケティングや商品開発に活かしていただいております。

Go Insightの特徴

AIカメラを活用した顧客行動分析Go Insightの特徴としては、大きく上記4点があります。

渡部:
購入意思決定者の特定についてですが、例えば夫婦で買い物にいらっしゃって旦那様がビールを手にとってカゴに入れたのに、実際レジを通ってポイントカードを出したのが奥様だった場合、ID-POSのデータには奥様が購入者の情報として残るという事ですよね。

Go Insightを使えば、購買決定者は旦那さんであったという事実を特定できることが特徴ということですね。

山本:
はいそのとおりです。
カスタマーとコンシューマの違いが分かるということになります。

Go Insightは店頭のデータ活用をトータルサポート

小売業様やメーカー様の中には、現場の業務で手一杯でデータの取得や活用は難しそう、データが取れても自分達では活用しきれなというお客様もいらっしゃるかと思います。

私たちはデータを取得するだけではなく、店頭での購買行動データを活用した売り場作りを調査設計からデータ分析、報告までお客様の課題やご要望にあわせてトータルでご支援をさせていただいております。

特にデータ分析の部分では自社専属の業界に精通したデータサイエンティストが担当している部分が強みとなっています。

【消費者行動データの活用】データサイエンティストの分析

渡部:
まずGo Insightの一番の特徴は商品接触回数、つまりお客様がどの商品に何回接触したのかというデータが取れることになります。

ではこの商品接触回数を横軸に、そして縦軸に買い上げ点数を置いたときに4象限のクラスター分析でどのような事が言えるのかを考えていきたいと思います。

例えば右に行くほど商品接触回数が多く、上に行くほど買い上げ点数が多い場合、右上のチョコレートはどういうことが言えるでしょうか。

チョコレートは接触が多く、また買い上げ点数も多いということになりますので、このカテゴリーにおける花形商品ということが言えますよね。

ということはこの商品を中心とした棚割を作ることによってカテゴリー全体の売り上げを伸ばす可能性が高いということが考えられるかと思います。

では次に左上のクッキーはどうでしょうか。ここは商品接触が少なく、買い上げ点数が多い商品になるので接触≒比較検討回数と仮定をした場合、競合と比較検討されずに特定のファンが商品を購入しているということがうかがえるので、「ロイヤリティが高い商品」ということが言えると思います。

そのため例えば、認知を伸ばすことでさらに購入者が増える可能性が考えられますよね。

では、右下のポテトチップスはどうでしょうか。

山本:
ポテトチップスですが、接触は多いけれども売り上げの点数は少ないということになると思いますので、注目度はあるけれど購買されない、もう一押し欲しい商品というようなイメージでしょうか。

渡部:
そうですよね、接触が多いのにも関わらず買い上げが少ない商品になるので、それだけ棚前で比較検討されやすい商品であり、且つ購入に繋がっていないという事は、競合商品になんらかの理由で負けてしまっている商品と言えると思います。

よく店頭販促は購買につなげるためのラストワンマイルの施策だ、などと言われたりしますので、例えば販促施策を変えてお客様の背中をあと一押ししてあげることで購買につながる可能性も十分考えられるのではないかと思います。

このような商品こそ店頭販促の効果が期待できる商品、ということも言えるかもしれません。

では最後にこの商品接触回数も買い上げ点数も少ない一番左下の商品はどうでしょうか。


山本:
そうですね、あまり人気がない商品だと思いますので、この商品に対して販促を考えるのは様々なパターンがあって難しそうですよね。

渡部:
その通りだと思います。正直これだけの情報で、次の一手を考えるのは非常に難しいことだと思います。例えば顧客属性別にデータをブレイクダウンしてみると、実は特定の層には人気が高くて接触も買い上げも多いという事実が見えてくる場合があります。

この興味関心を抱いていただいている特定の顧客層に対して優先的にアプローチをすることで、全体の売上の底上げを図る可能性も十分に考えられるのではないかと思っております。

このようにGo Insightのデータを用いてクラスター分析することで各商品の立ち位置を把握し、また商品特性に応じた効果的な次の一手を考えることが可能となります。

Go InsightとPOSデータとの連携について

山本:
営業としては、売上に対してどうなのかというところも気になりますね。

渡部:
売り上げに絡めた分析をしたいと思われている方は沢山いらっしゃるのではないかと思います。

実はこのサービスは、Go Insightのデータだけではなく他の外部データと連携させることによってさらに深掘り分析をすることが可能となります。

例えば売上といえばPOSデータですよね。

では次にGo InsightのデータとPOSデータを組み合わせるとどのようなことが言えるのか考えてみましょう。

例えば売上個数×売価で、商品の良し悪しを決める「売れ筋商品分析」に商品の接触という視点を加えると、どういうことが言えるでしょうか。

先ほどの4象限のクラスター分析の縦軸を売り上げとした場合、右上に分類される商品というのは売り上げが好調、それに商品接触も多く、それだけお客様が関心を寄せているということが言えるので、もう少し取り扱いを増やしてみようかな、というアイデアが出てくるかと思います。

一方で右下の商品の場合は、売り上げは伸び悩んでいるけれども、お客様の関心は高いようだということが伺えるので、例えば棚割を変えるなど売り方を変えることによって、どういった変化が出て来るのか予想してみようという発想に繋がっていくと思います。

このように売上という実績だけではなく、お客様がどれだけ関心を寄せているのかという商品のポテンシャルを含めて商品の良し悪しや、品揃え売り方を考えることが可能になることがGo Insightと POSデータを組み合わせることの利点になってきます。

Go InsightとID-POSデータとの連携について

渡部:
次にGo InsightのデータとID-POSを連携させたときには、どのようなことがわかるのかを考えていきたいと思います。

まず ID-POS のいいところは、誰がどの商品を購入したのかという顧客軸で商品の動きを見るところだと思います。

色々な ID-POSの分析をする手法がある中でも今回は顧客セグメントの手法である、RFM分析との組み合わせを考えていきたいと思います。

山本:
私もお客様とお話をする中でID-POSを活用しきれていないというお悩みは良く聞きますので、ご提案の1つとしてRFM分析をご案内することがあります。

渡部:
RFM分析は、

  1. お客様がいつ商品を購入したのか
  2. どれぐらいの頻度で商品を購入しているのか
  3. 一定期間の購買金額はいくらか

というこの3つの軸の組み合わせで顧客をランク分けする手法となっています。

この分析のいいところは一定の基準で顧客セグメントをすることで、セグメント毎にどういったアプローチが適切なのかという事を検討できる所が良い部分だと思っています。

ではこの RFM分析にGo Insightのデータを追加するとどうなるのか。

ちなみに RFM分析はあくまでも購入したという結果をもとに顧客をクラスター分けする手法です。

しかし、顧客の中にはこの商品を購入しようと意思決定するまでには長い時間、棚の前に滞在して色々な商品を手に取り、比較検討したうえで最終的に購入する商品を決める方もいらっしゃれば、最初からこの商品を購入しようと決めて売り場にいらっしゃる顧客も沢山いると思います。

このように商品を購入する前の顧客の行動、どれぐらい売り場に滞在し、またいくつの売り場に立ち寄り、いくつの商品に接触し、最終的にどの商品を購入したのかという情報がすべてGo Insightから取得することが可能になっています。

そのため例えば、RFM分析で優良顧客と分類された顧客の行動パターンを見てみると、実際には半数以上が「計画購買型」と言われる顧客で、一つの売り場に数秒しか滞在せず、商品を購入している顧客であるということが見えてくる場合があります。

実は半数以上の方が売り場に数秒しかいない顧客だということが分かると、その後計画購買の顧客に新商品をアピールしたい時に、どういった販促が効果的なのか、一目で分かるようにPOPをつけるのか、あるいはパッケージを変えるのか、少なくとも棚の前に長時間滞在をして商品を物色する「非計画購買」の顧客とは違ったアプローチが必要になってくると思います。

このように購買前の顧客の行動を把握することで、クラスター毎の行動パターンに沿った効果的な販促施策を検討できるようになることがGo InsightとID-POS を連携させることの利点だと考えております。

長くなりましたが、最後までお読み頂き有難うございました。データの利活用や店頭でのショッパー行動の分析に少しでもご興味がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。 

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