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2023年6月1日、コニカミノルタマーケティングサービス株式会社はゴウリカマーケティング株式会社に商号を変更いたしました。

2021.09.02

【ウェビナー開催レポート】リアル店舗の購買行動変化を読み解く 〜ショッパー×メーカー×小売・流通の「ニューノーマル」を考える〜

【ウェビナー開催レポート】リアル店舗の購買行動変化を読み解く 〜ショッパー×メーカー×小売・流通の「ニューノーマル」を考える〜

小売店舗のICT活用の専門家である店舗のICT活用研究所 代表の郡司昇氏、マーケティング・リサーチに詳しい株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー(以下JMA)牛堂雅文氏をお呼びし、ショッパー行動解析サービス「Go Insight」を展開する弊社の清水隆史を交え、今後のショッパー、メーカー、小売・流通の「ニューノーマル」を読み解いて参りました。当日は100名を超える方にご視聴頂き、ライブアンケートやチャットを通し活発なディスカッションを行いました。

新型コロナウイルスによる外出自粛や巣ごもり消費は、ショッパーの購買行動を大きく変えました。メーカー様や小売・流通様においては、売上(出荷量)や購買層の変動による対応に加え、イベントの中止・延期による店頭販促施策の再設計など、多くの対応に追われている事と思います。

2020年6月19日に開催した本ウェビナーでは小売店舗のICT活用の専門家である店舗のICT活用研究所 代表の郡司昇氏、マーケティング・リサーチに詳しい株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー(以下JMA)牛堂雅文氏をお呼びし、ショッパー行動解析サービス「Go Insight」を展開する弊社の清水隆史を交え、今後のショッパー、メーカー、小売・流通の「ニューノーマル」を読み解いて参りました。当日は100名を超える方にご視聴頂き、ライブアンケートやチャットを通してご質問を頂く等、活発にディスカッションをさせて頂きました。

変化するショッパーの行動と日本の小売業が今取り組むべきこと

郡司氏には新型コロナウイルスの影響で変化した小売・流通、ショッパーの行動を、少し前まで全国各地のドラッグストアで起こっていた、マスクや除菌・アルコールグッズの欠品トラブルの現象等の実例を交えながら分かりやすくお話頂きました。また米国等で普及しているBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)についても実例と共に、今後日本で普及する為に必要なポイントをお話頂きました。

パネリストプロフィール
店舗のICT活用研究所 代表 郡司 昇(ぐんじ のぼる)

1999年 株式会社ランド設立 代表取締役社長。2007~2018年 株式会社ココカラファインでドラッグストア・保険調剤薬局の販社統合業務→EC事業会社 代表取締役社長として事業黒字化。同時にグループ統合マーケティング部門を立ち上げて責任者兼任。 2018年~現職 My job is 全体最適、デジタルシフトに関して悩みがある企業のお手伝いをして、その先にある顧客体験を向上すること。小売のICT活用&IT企業の小売理解をお手伝いしています。

ニューノーマルの生活習慣 ~新型コロナウイルスの影響で日本人の意識はどう変わったか

牛堂氏には2018年からJMAにて実施している「日本の未来を考える調査」の速報結果とそこから見えてきた日本人の意識の変化についてお話頂きました。

【ニューノーマルを考える 5 つの トピック 】
①「景気は悪い」と大多数が思っているが、日本の未来に強く悲観的ではない。
②時間の余裕が生まれ、精神的に充足していそう。
③情報接触時間は「放送時の TV 」と、「スマホ」が増加。
④プラスチック削減など「社会問題への意識」は低下していない!むしろ微増。
⑤店舗に求めるものは、「換気」や「スタッフのマスク着用」

その他、これからは必要のないものとして食品売り場等での試食サービスや不特定多数の人が集まる研修・セミナー等が半数を超えているのに対して、初詣・花火大会・祭り等の季節イベントは必要との回答が多数という結果となりました。

パネリストプロフィール
株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー 企画部マネージャー
牛堂 雅文(うしどう まさふみ)

20年以上一貫して消費者理解を行うマーケティング・リサーチに従事し、日用雑貨、自動車、CS調査、海外での観察調査など多数のプロジェクトを経験。各種ツールを活用したリサーチを得意とし、開発や導入を行う。アカデミック、各種テクノロジー、ベンチャーなど外部との接点が多い。2014-2016年に日本マーケティング・リサーチ協会カンファレンス委員会委員長として業界活性化に取り組んだ。リサーチャーネットワークである「JMRX」共同主催者。

ショッパー行動のファクトデータで見るBeforeコロナ/Withコロナ

弊社の清水からは、弊社のショッパー行動解析サービス「Go Insight」で取得したデータより before コロナ、 with コロナの売り場滞在時間や接触回数の変化をお話させて頂きました。 2019 年と 2020 年のデータを比較すると、在宅勤務の増加を反映してか、売り場立寄者数は 2 倍弱の増加、性別は男性の割合が 11 ポイント増え、全体の平均年齢も約 7 歳低下し、若者の来店が増加傾向でした。売り場の滞在時間も平均値、中央値共に大幅に減少しており、中央値では 約半分の滞在時間となっていることが分かりました。

モデレータープロフィール
コニカミノルタ株式会社 マーケティングデータコンサルタント
清水 隆史(しみず たかし)

ショッパー行動解析サービス「Go Insight」の企画・開発に携わり、飲料品・食料品・日用品・嗜好品など20社以上のメーカー・ブランドオーナー様や小売・流通企業様の課題解決を支援。マーケティングデータ分析を行いながら企業のデジタルトランスフォームを支援すると共にエバンジェリストとしても活動し、セミナー・研修等の登壇多数。スクラムマスターとしてアジャイルマーケティングのアドバイザリーにも従事。サイエンスの観点からマーケティングを進化させる。専攻は宇宙物理学。

ウェビナー後半では、前半の内容 をベースとして「ショッパーの行動と意識はどう変わったか」「小売・メーカーはどう変わるか」についてディスカッションを行いました。

Discussion1:ショッパーの行動と意識はどう変わったか

*主なポイントは下記の通り。
・男性の売り場立ち寄りが増えている事より、ショッパーの担い手が女性だけではなくなった
 (商品に求める要素が少し変わってくる可能性がある)
・売り場の滞在時間、商品の接触が減少しており、今後商品パッケージの重要性 が増し短時間で選ばれる仕掛けが重要
・ POP の整理が出来ている店舗とそうでない店舗の差が生まれる
・無人店舗は無人にすることが目的となってしまい店に魅力がないと買いに来てくれない(無人=価値ではない)
・旗艦店等を通じてその企業の姿勢を示す取り組みを行う
・生鮮食品はリアル店舗での購入が最後まで残ると言われている
・以前はEC シフトが難しいと言われていた衣服、ファッション関係は意外にもEC にシフト
・模索中の状態は今後も長く続く見通し。チャンスにいかに早く対応できるかがカギ
・BOPIS(Buy Online Pick-up In Store) は確実にユーザーニーズがあり、店舗側も配送コストがかからず
 客単価も上がるが、 導入に至るまでには店舗の棚割りマスターの構築等、環境の整備から始める必要有

Discussion2:小売・メーカーはどう変わるか

*主なポイントは下記の通り。
・今までは時短ニーズが強かったが、時間に余裕が生まれたので時間や手間をかけたものが、
 意外に受け入れられる可能性がある
・JMA の調査結果にても季節イベントが必要との回答が多数有り、変化を楽しみたいという需要が想定される。
 店舗・メーカー両サイドで出来ることだが、季節を感じるイベント等、消費者のニーズがありそう

ライブアンケートの結果発表

当日は視聴者の皆様にご協力を頂き実施したライブアンケートの結果もご紹介させて頂きました。
77 名の方にご回答を頂きました。(2020年6月29日9 時時点)

レジ袋の有料化に伴うエコバック利用増加におけるレジ回りのオペレーションや無人店舗の可能性等、アンケート結果をもとにディスカッションを行いました。

また、視聴者の方からご質問を頂きましたBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)が日本で普及する為に必要な事について郡司氏より解説頂きました。

まとめ

・ソーシャルディスタンスを考慮した、店舗レイアウトの再検討を行う必要がある
・店舗と顧客の新たなコミュニケーション方法の検討や、顧客とのエンゲージメントを高める試みが必要

当日はJMAの内沼三緒氏に今回の対談の模様をグラフィックレコーディングに描き起こして頂きました。

編集後記

新型コロナウイルスの影響で店頭に滞在する時間が大幅に減少したことや、レジ袋の有料化に伴うレジ回りのオペレーションの変化等、たったこの数カ月を見てもショッパーの行動は大きく変化し、それに応じて小売・流通も新たな対応を求められています。この前例のない変化の中において、データに基づいた客観的な事実を元に素早く状況を捉えて、新しいニーズに合致した顧客とのコミュニケーションの設計を行うことが、小売・流通、メーカーにとって大きなチャンスになるのではないかと感じました。
また、上記の消費動向の変化に素早く対応していく為には、今の状況をイレギュラーと捉えるのではなく時代の変化と捉えた上で、今後の施策や戦略を立てる必要があることを強く実感致しました。
(コニカミノルタマーケティングサービス株式会社 有賀・根岸)

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