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  • コラム

2022.03.31

DXは楽しんだもの勝ち!「自分たちがどうあろうと世の中はデジタルで変わっていく」:SURVIVE2030

DXは楽しんだもの勝ち!「自分たちがどうあろうと世の中はデジタルで変わっていく」:SURVIVE2030

コロナ禍でセールスやマーケティングなどが多様化し、企業のあり方も変化している。

会社を成長させていくためにDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル化による変革)をどう活用すればいいのか。

テレビ東京のWebオリジナル討論番組「SURVIVE2030」(MC:森本智子氏)では、その分野の有識者を招き、DXを使った理想的な組織のつくり方やデジタルツールの活用法などを討論した。

▲左から、森本智子氏、「Kaizen Platform」代表取締役・須藤憲司氏、「コニカミノルタマーケティングサービス」代表取締役(2022年3月当初)・岡本賢祐、フリーランスエンジニア兼タレント・池澤あやか氏

時代の変化に合わせ、多くの企業が意識するDX。しかし、「Kaizen Platform」代表取締役・須藤憲司氏は、「DXを夏休みの宿題のように考え、重くのしかかっている会社もある」と話す。これまで累計1000社以上の企業のDX支援を担ってきた中で、DX導入が働き方を変える手段ではなく、目的化するケースも多く見てきたからだ。

また須藤氏は、音楽の世界がソフトから配信に移行していることなどを例に出し「実はこれがDX。音楽の世界はDX化されたわけで、放送の業界も(動画配信プラトフォームの浸透などで)変わっていく。デジタルが当たり前になったとき、どうやって自分たちの事業をうまくやっていくか。それがDXなんです」と説いた。

フリーランスエンジニア兼タレントの池澤あやか氏は、開発現場で「DXの間違った使い方」を目の当たりにしてきたと話す。「既存の組織や人に合わせてシステム開発をしようとする会社がすごく多い。例えばビデオツールやチャットツールをこれまでの電話・メールの業務フローに合わせようとする。ツールを使いこなせるよう人や組織が変わらなくては」と訴えた。

一方、これまで一部の社員のみが理解し、アナログ処理してきた業務を共有化するため、できる範囲でDXを取り入れるケースもあるという。 背景にあるのは人口の減少だ。「コニカミノルタマーケティングサービス」代表取締役(2022年3月当初)・岡本賢祐は、「大企業には、もうすぐ定年を迎える社員しか把握していない業務もたくさんある。まずはそうした近々の仕事を解決してほしいという依頼も多い」と語る。

だが「困りごと解決だけでは業績が上がらない時代」とも。DXは、対象や目的を明確にしたシステムづくりが本筋で、そこがおざなりになると「いろんなことができるけど誰も助からないシステムができる」と岡本は言う。

マーケティング領域に特化した同社は、販促物やカタログなどの制作コストを削減しながら 、制作の工程自体をDX化していくことでクライアント企業の成長を促してきた。また小売店にカメラを設置して、購買者の行動をデータ化、分析を行った上で次の施策立案に結びつけていくなど、マーケティング部門トータルでのDX化をサポートしている。

DXとは終わらないもの

須藤氏も「長い歴史の中で成功体験を積み重ねてきたのが大企業。そもそも高いサービスレベルになっているのに、システムをそのままデジタルに置き換えてもうまくいかない。自分たちが何者で、どんなものを客に提供したいのか、そこが定まって『手段』としてのDXが生きる」と話す。「大企業も、元はスタートアップで誰かの問題を解決したいと起業したはず。そこを深掘るべき。DXは『第2の創業』と同じ」と唱えた。

「ベンチャーは、まず必要最低限の中核機能を開発し、顧客の声を反映してアップデートを重ねていく。ところが大企業は、過去の事業をベースにデジタル化を進めることが多い。仕様を決めて外部に委託し、納品したらおしまい。これでは進化を続ける世のデジタルに取り残されてしまう」と池澤氏。

須藤氏も「DXって終わらない。『よし! DX完了』となった時点で遅れ始める。体力も人材もあるところから始め、トランスフォームし続けることが大事」とこれに同調した。

中盤からは、現在のスタートアップの一般的なDX環境について意見を出し合った。岡本は、かつて膨大な費用でシステム構築していた時代と違い、クラウドサービスによって「誰もが大企業並みの環境でビジネスが始められる時代になった」と語る。

「コニカミノルタマーケティングサービス」でも、サービスの多くをクラウドで提供。自社システムより運用・買い替えのコストが低く、メリットも大きいという。

一方で入力方式の違いなどが壁となる場合もあり「そこをどう理解していただくか。プロセス自体を変えていける柔軟性が必要」と伝えた。

池澤氏は開発者のリアルな声として、リモートワークの重要性を説く。最近では優秀な人材の地方移住が目立ち、遠隔地での勤務が前提で会社を選ぶ例も増えてきたという。

一方で岡本は、上司・部下間の人間関係などが主なストレス原因だったコロナ前に比べ、リモート化の浸透がコミュニケーション不足という新たな課題を生んだと指摘した。

技術の前に組織と人がある

この課題に対して、創業直後からリモートワークを取り入れている「Kaizen Platform」では、信頼構築のための雑談の有用性を早くから見抜き、従業員が週に出社する日を定めて会話する機会を設けていたという。

「わざわざZoomを立ち上げて雑談しないですよね。このように、リモートワークで『無駄』がなくなってしまった。だからわざわざ出社して余白をつくった。これはとても大事なこと」と須藤氏。そのほかコミュニケーションを補う手段として、グループチャットの活用やワークショップ型の教育など、ゲストからはさまざまな提案が飛び出した。

後半は、DXが進まなければ、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘した産業省のレポート「2025年の壁」を取り上げ、これからの企業のあり方を議論。DXという「手段」を生かすためには、組織の価値観を再構築しなければならない。それがゲスト3者の共通意見だ。

須藤氏は、エンジニアの求人倍率が高く、人材確保が難しいいま、既存社員のDX実践を促進することが重要だとし、「自分たちがどうあろうと世の中はデジタルで変わっていく。トランスフォームを自分でやるのか、他人からさせられるのか。顧客や仕事仲間という身近な人たちを幸せにする観点から、楽しんでDXを考えてみては」と提案。

池澤氏は「DXの肝要は人と組織の価値観の変化。ところが組織が肥大化すると『偉い人』が出てきて、仮にDXで活躍できる人材がいても存分に動けない。入口はテクノロジーではなく、人」とコメント。岡本は「まずは挑戦。失敗を恐れず実践してみて、ダメなら他の人に聞いてみる。大企業でもスタートアップでも、一般社員でも社長でも、全員が前を向かなければ成長はないのかなと思う」と意見を述べた。

企業が「壁」を乗り越えられるかは、先端技術がもたらす変化を前向きに捉えられるかどうかが鍵となるようだ。最後に司会の森本智子氏は、「目的が決まれば『とりあえずの一歩』からDXを始める。そこから常にアップデートしていけば取り残されることはないと。意識の変化が大事だとわかった」と感想を述べた。

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