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2023年6月1日、コニカミノルタマーケティングサービス株式会社はゴウリカマーケティング株式会社に商号を変更いたしました。

2021.09.02

【ウェビナー開催レポート】 Withコロナ時代 – リアル店舗のDXでショッパー行動を大予測! ~ショッパー×メーカー×小売の3者の視点から購買行動の変化を読み解く~(前編)

【ウェビナー開催レポート】 Withコロナ時代 – リアル店舗のDXでショッパー行動を大予測! ~ショッパー×メーカー×小売の3者の視点から購買行動の変化を読み解く~(前編)

2021年6月24日に開催した本ウェビナーでは、昨年6月に開催したニューノーマルのショッパー行動の変化を読み解くウェビナーの第二弾として、この1年でリアル店舗の購買行動はどう変わったのかや実際のFactデータの変化や顧客の心理面での動向変化を踏まえつつ、Withコロナ時代のショッパー行動と今後の展開についてお話させていただきました。

※本レポートは要約版となります。当日のグラフィックレコーディング含めた詳細をご覧になりたい方は、ぜひアーカイブ版のご視聴&資料のダウンロードをお願い致します。

<この記事を読んでいただきたい方>
・店頭マーケティングで成果を出したい マーケターの方
・ショッパー行動からヒントを得たい 商品企画・開発担当の方
・店頭のデジタル施策を推進する 小売業のDX担当の方

前編では第一部から第三部までの内容のサマリをお伝え致します。第四部のトークセッション部分はこちら(後編)より御確認を頂けます。

第1部 予測的中!?コロナ禍で消費者行動はどう変わったのか

コニカミノルタ株式会社
マーケティングデータコンサルタント
松塚 香奈

コニカミノルタに入社後、人事部所属。採用PR冊子・ノベルティの制作や人事プロモーションの立案・実行から、HRTechデータ活用プロジェクト、人事部の業務効率化プロジェクトなどを担当。マーケティング領域にキャリア転換後、様々な企業のマーケティング部門における課題に深く触れた経験を活かし、業務効率化からデータ活用まで幅広い提案を行う。

まず初めに弊社の松塚より、昨年予想した内容を振り返りつつ、この1年間の消費者行動の変化をGo Insightで蓄積したデータを元にご紹介させていただきました。

この1年間のできごと

この1年間のできごとをサマリーにまとめると下記のような結果となりました。

1. 滞在時間減少、20 代~ 30 代急増
売場の滞在時間は引き続き短くなる傾向。20 代~ 30 代の売場への来訪が急増。商品接触数は一時的に激減したものの、元に戻りつつある。

2. 販促物簡素化の方向へ
これまでのGo Insight の使い方としては、販促物を付けたらどれだけ効果があるのか?という使い方が多かった。今年 1 年間で販促物を無くしたり、パッケージを簡素化したりしたときに影響がないか、を定量的に確認するリサーチが急増。

3. DX 化の問い合わせが急増
Go Insightの活用の流れから、データの見方を教えてほしい、分析の仕方を教えてほしい、業務の自動化を進めたい、などのお問い合わせが急増。
=DX 化が加速

データでわかった!この1年

大手小売店舗(関東都市部)・某食品売場にて、Beforeコロナ(2020年1月〜2月)とWithコロナ(2020年7月、2020年10月〜11月)での消費者行動の変化をGo Insightを使って調査した結果をご紹介していきます。

◆ショッパー数(立寄者数・滞在者数)の変化
Beforeコロナでの一日当たりの売場立寄者数に対し、Withコロナでは立寄者数は減少すると思われていたが、2020年7月には増加。ただし、一度落ち着いた2020年10月~11月には大きく減少。

PCR陽性者数との関連データでは、警戒アラート前の立寄者数は多く、滞在者数は少ないことから、娯楽の一つとして売場に来ていたのではないかと考察。一方で、アラート後は必要最低限の人数での来店に。

◆ショッパー属性の変化
BeforeコロナとWithコロナの属性の変化として、20代~30代の比率が増加。

◆滞在時間の変化
Beforeコロナに対し、Withコロナで滞在時間は大幅に減少。その後も緩やかに減少が続いた。

◆商品接触回数の変化
商品接触回数はWithコロナの中でも2020年7月と10月では違いがあり、7月には大きく減少したが、その後増加。

第2部 メーカー視点での今年1年の振り返りと未来予測

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部マネージャー
牛堂 雅文

20年以上一貫してマーケティング・リサーチに従事し、日用雑貨、自動車、海外での観察調査など多数のプロジェクトを経験。各種ツールを活用したリサーチを得意とし、近年はアイトラッキングに注力。 アカデミック、各種テクノロジー、ベンチャーなど外部との接点が多い。2014-2016年に日本マーケティング・リサーチ協会カンファレンス委員会委員長として業界活性化に取り組んだ。リサーチャーネットワークである「JMRX」共同主催者。

第2部では株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシーの牛堂様より、メーカー、消費者の視点でのこの1年間の変化と今後の予測について、実際の消費者調査の結果をもとに、消費者意識の変化に主軸を置いてお話いただきました。

日本の未来を考える調査ついて

今後「日本の社会がどうなっていくのか」について、少し長期的な視点で問いかけた「一般消費者調査」となっています。対象者、エリア等まんべんなく調査を行っており、一般的な日本人を捉えています。(正式版は7 月末にリリース予定)

◆これからの日本に期待が持てるか
・「そう思う」という肯定回答が減少し、「そう思わない」が増加。
・「そう思わない」理由で2位の「海外に比べ、色々な取り組みがで遅れていると感じる」は、ここ3年間でパーセンテージが上昇。コロナ対策の遅れやDXの面でも日本はあまり進んでいないことが要因では。

◆不安に感じること
・「増税」「日本経済」への不安は依然として強く、「自身の健康」「自分の将来・お金の不安」など、自分自身への意識が不安の上位を占める構造は継続。

◆生活意識「安定」「保守的」「自分を大事に」
・「安定した生活を送りたい」に「そう思う」と回答した人が今年はさらに増加。
・「人の役に立ちたい」、「新しいものを取り入れていきたい」、「社会に貢献したい」という質問では、「そう思う」という肯定回答が昨年に比べて若干減少。

◆二項対立から見る意識の変化
・高齢化社会の問題も、「自分のことで精一杯であり、他の世代の負担までは避けたい」が増加。
・プラスチックを使った製品を減らすことについても、肯定的ながらやや意向が減退。

◆環境・社会課題への意識
・「持続可能な社会を目指すべき」というSDGs の基本理念には肯定的だが、「動物の問題より、人間社会の問題の解決を優先すべき」、「自然保護と引き換えに、生活の質が下がるのは嫌だ」など、やや保守的な方に意識が戻った。

◆情報接触の変化
・情報接触時間の変化:「スマホの利用時間」、「録画しているTV 番組の視聴」が増加 。ただ時間は自己申告な為、実際はもっと長いのではないかと考えられる。
・情報源の変化:「YouTube 」などの動画サイト、「 SNS 」が増加、「 TV 」が最大ながら減少。
・利用が増加したもの:「スマホ決済サービス」「有料動画配信」の伸びが目立つ。「UberEats など配達サービス」の利用も増加しているものの、全体から見ると5%未満。

◆コロナ禍前後での生活の変化
・「在宅勤務」「テイクアウト」「ひとりで行える趣味」「日常的な自炊」「インターネットバンキング」などがコロナ禍で増え、日常のちょっとした改善にニーズがあると窺える。

◆コロナ禍が改善していった場合の生活
・「料理は時短レシピを活用し手早く済ませたい」が7 割近くを占め、手間をかけるメニューへの意向も見られるが、時短ニーズは継続。
・「オンライン飲み」に関しては8 割が否定的な意見となったが、お店での宴会意向も半数を超えるほどではない。
・勤務形態に関して、通勤か在宅かについては意見がかなり割れる結果に。人や会社によってかなり考えが違うことが伺える。

メッセージ

コロナ禍は、ワクチンの普及もあり時間をかけながら収束していくと考えています。しかし、これだけ長く自粛生活をしていると、二度とコロナ前の社会に完全に戻ることはないと思います。2020年代は違う時代になると考えて前進していくということでお手伝いができればと考えています。

弊社は「マーケティング・リサーチのDX 化」 を推進していますので、そういったご相談があれば是非お問い合わせください。

第3部 小売視点での今年1年の振り返りと未来予測

店舗のICT活用研究所
代表
郡司 昇

1999年 株式会社ランド設立 代表取締役社長。2007~2018年 株式会社ココカラファインでドラッグストア・保険調剤薬局の販社統合業務→EC事業会社 代表取締役社長として事業黒字化。 同時にグループ統合マーケティング部門を立ち上げて責任者兼任。 2018年~現職 My job is 全体最適、デジタルシフトに関して悩みがある企業のお手伝いをして、その先にある顧客体験を向上すること。小売のICT活用&IT企業の小売理解をお手伝いしています。

第3部では店舗のICT活用研究所の郡司様より、小売視点での今年1年の振り返りと未来予測についてお話いただきました。

昨年のふりかえり

昨年6月に開催したウェビナーでは、こんなお話をさせていただきました。
・レジ前のビニールシートの生んだ弊害:声が聞こえない。
・マイバック問題:ドラッグストアやコンビニではマイバックに詰めるスペースがないため、レジの待ち時間が増加。

セルフレジについて

・フルセルフレジは微増に留まり、利用者の意向としても「人との接触を避けるため」に利用している方も思ったより多くない。
・セミセルフレジ利用者が7割を突破し、スーパーでの導入が進んでいる。バーコードをスキャンするのは店員さんの方が早い。

落ち込んでいる分類とそうでない分類

・化粧品市場は、外出の減少、マスク着用等の事情もあり落ち込んでいるが、内訳を見ると基礎化粧品はそれほど落ちていない。

・どのカテゴリーでも言えることだが、全体が落ち込んでいても伸ばせる余地のあるカテゴリーがあることもあるので、データをよく見て、深堀りする必要がある。

接客の変化 オンライン接客

・緊急事態宣言による、百貨店の休業、営業時間短縮などもあり、アパレルを中心にオンラインの普及が進んでいる。
・オンラインだと、接客データを取得することができ、購買データとの紐付けも可能。データが集まることで、スタッフの適切な評価が可能になり、顧客満足度の向上に繋がるなど、良い影響も。
・今後店頭で接客ができるようになっても同じようにデータを取れる仕組みは必要。オンライン接客で仕事のやり方そのものが変わる、まさにDX化の事例。

世界から見た日本 コロナ禍の落ち込みと回復状況

・日本:2020年春先に大きく個人消費が落ち込み、多少回復したが、以前として非常に厳しい状況。今後も現状と変わらないという予測。
・アメリカ:日本以上に落ち込みが大きかったものの、ワクチンの開発などもあり、すでに回復。今後も伸びていくという予測。
・中国:経済成長で急速に伸びていたが、コロナによって一度は大きく落ち込んだ。対策を早く打つことにより回復し、今はもとの成長ペースに戻っている。新しい生活習慣、いわゆるアフターコロナ的なことが既に標準に。

新しい買い物体験に関する調査(アメリカ)

・アメリカの「新しい買い物体験」調査によると、継続利用意向(Intent to continue)が高いのは、「セルフ会計」と「BOPIS」。

・国別での「新しい買い物体験を試した」の回答率で、日本は断トツの最下位。
・日本が最も遅れているのは、小売事業者から新しい買い物体験のサービスが提供されていないことが原因。

各国では新しいビジネスや技術が生まれており、今後日本と海外との間にどんどんギャップが出てくることに危機感を感じています。

第4部のディスカッションと全体のまとめは以下からレポート後編をご覧ください。

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